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デカルトは疑いに疑う | デカルトは疑いに疑う | ||
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1ホッブス:社会契約を結んで共通の秩序、国家を結んだ | 1ホッブス:社会契約を結んで共通の秩序、国家を結んだ | ||
2パーソンズ:契約では秩序は安定しない。行為の目的や手段を制御する価値や規範を共有することが必要(機能主義ー社会システム論) | 2パーソンズ:契約では秩序は安定しない。行為の目的や手段を制御する価値や規範を共有することが必要(機能主義ー社会システム論) | ||
3マートン:抽象的な理論と経験的な調査を結びつける。社会秩序がどのように安定化し不安定化するかを経験的に明らかにした | 3マートン:抽象的な理論と経験的な調査を結びつける。社会秩序がどのように安定化し不安定化するかを経験的に明らかにした | ||
=== 社会秩序はいかにして可能か? === | |||
秩序について考えた社会学者 | |||
==== ホッブス ==== | |||
社会契約論 | |||
==== パーソンズ1937 ==== | |||
価値や規範を共有すること | |||
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安定と不安定化 経験的には明らか | |||
===タルコット・パーソンズのAGIL図式 === | ===タルコット・パーソンズのAGIL図式 === | ||
これはなかなか納得させるものだ | これはなかなか納得させるものだ | ||
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5.1976年 アンソニー・ギデンズ『社会学の新しい方法基準』 | 5.1976年 アンソニー・ギデンズ『社会学の新しい方法基準』 | ||
構造機能主義に代わる新たな理論を提示する | 構造機能主義に代わる新たな理論を提示する | ||
=== ゲマインシャフトとゲゼルシャフト === | === ゲマインシャフトとゲゼルシャフト === | ||
フェルディナント・テンニース | ==== フェルディナント・テンニース ==== | ||
社会的行動を導く動機には二種類ある | 社会的行動を導く動機には二種類ある | ||
1.本質意志>協調行動>伝統的共同体(ゲマインシャフト)に特徴的 | 1.本質意志>協調行動>伝統的共同体(ゲマインシャフト)に特徴的 | ||
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* 日本では、高度経済成長期以降、共同体の成立基盤が弱体化し、固定的で濃密な人間関係からの「脱埋め込み」が進行した。つまり、つきあいたくないひととはさほど関わらなくても生活できるようになっていった。 | * 日本では、高度経済成長期以降、共同体の成立基盤が弱体化し、固定的で濃密な人間関係からの「脱埋め込み」が進行した。つまり、つきあいたくないひととはさほど関わらなくても生活できるようになっていった。 | ||
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* | * 同時期、学校においても画一的な知識の伝達ではなく、「生きる力」や「個性の重視」が叫ばれるようになり、勉強重視ではなく、「心の教育」が重要視されるようになった。→友だちとの関係が崩れないように気を使わなくちゃ…という意識が強い | ||
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* 優しい関係 (『「個性を煽れられる子どもたち』土井隆義、2004) | * 優しい関係 (『「個性を煽れられる子どもたち』土井隆義、2004) | ||
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2024年9月7日 (土) 09:35時点における最新版
社会と私2
デカルトは疑いに疑う 社会秩序は以下にして可能か 1ホッブス:社会契約を結んで共通の秩序、国家を結んだ 2パーソンズ:契約では秩序は安定しない。行為の目的や手段を制御する価値や規範を共有することが必要(機能主義ー社会システム論) 3マートン:抽象的な理論と経験的な調査を結びつける。社会秩序がどのように安定化し不安定化するかを経験的に明らかにした
社会秩序はいかにして可能か?
秩序について考えた社会学者
ホッブス
社会契約論
パーソンズ1937
価値や規範を共有すること
マートン1949
安定と不安定化 経験的には明らか
タルコット・パーソンズのAGIL図式
これはなかなか納得させるものだ 社会学とは、いかにして社会秩序が生まれるかを問う学問だ!
機能主義の流れ
1.1830~42年 オーギュスト・コント『実証哲学講義』 社会研究への科学的アプローチを提唱 2.1874~77年 ハーバート・スペンサー『社会学原理』 社会とは進化する「有機体」であると論じる 3.1937年 タルコット・パーソンズ『社会的行為の構造』 行為理論を説き、機能主義研究への注目を再び集める 4.1949年 ロバート・キング・マートン『社会理論と社会構造』 デュルケームのアノミーの概念を発展させ、社会の 「逆機能」を論じる 5.1976年 アンソニー・ギデンズ『社会学の新しい方法基準』 構造機能主義に代わる新たな理論を提示する
ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
フェルディナント・テンニース
社会的行動を導く動機には二種類ある 1.本質意志>協調行動>伝統的共同体(ゲマインシャフト)に特徴的 2.選択意志>特定の目標達成>近代社会(ゲゼルシャフト)に特徴的 @2つともあると思う。世の中の法則は少数意見を意識的に無視するところに存在する
意志の概念
人を行動へと駆り立てるのは意志 意志には2種類ある
1.本質意志
自然で直感的。本能的で理屈抜きの行動、あ るいは習慣・風習や道徳観念にもとづく行動を導く
2.選択意志
合理的判断にもとづく行動を導く。特定の目標達成を目指す大きな組織、企業などを動かす 近代ではゲゼルシャフトが圧倒 @家族や地域とのつながりが薄いとゲゼルシャフトにノミこれてしまう。またゲゼルシャフトの中にもゲマインシャフトは存在する。同期である、同郷であるなど仕事で苦楽をともにしたグループなど。かなり会社の規模にもよるが、ゲマインシャフトの薄いすきまを埋めていたはず 他者との結びつき方
内集団と外集団
個人的な判断が集団の影響を強くうけるという事実 ウィリアム・サムナー
内集団
>結束と外集団への敵意>偏見と敵意は集団がはぐくむ 「われわれ意識」をもち、一体感を感じている集団
外集団
- われわれと無関係な他者の集団
- 伝統的な社会において、人びとの日常は地縁や血縁の中に「埋め込まれて」いた。 (『モダニティと自己アイデンティティ』ギデンズ、1991)
- 人間関係が濃密で、つきあいや行動の自由が制限されていた。
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- 日本では、高度経済成長期以降、共同体の成立基盤が弱体化し、固定的で濃密な人間関係からの「脱埋め込み」が進行した。つまり、つきあいたくないひととはさほど関わらなくても生活できるようになっていった。
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- 同時期、学校においても画一的な知識の伝達ではなく、「生きる力」や「個性の重視」が叫ばれるようになり、勉強重視ではなく、「心の教育」が重要視されるようになった。→友だちとの関係が崩れないように気を使わなくちゃ…という意識が強い
- 優しい関係 (『「個性を煽れられる子どもたち』土井隆義、2004)
- 互いを高度に配慮しあう人間関係のこと
- 若者の現在志向(今を大事に活きる志向、コンサマトリー化)が強まっていく
- ・将来のための勉強や訓練よりも、現在を楽しむための人間関係を重要視するようになる。
- ・学校は、<友人関係を築く場所>
- ・そこでのコミュニケケーションにおいて「優しい関係」が維持されている。
- (「友人関係の変容」辻泉:『現代若者の幸福』藤村正之・浅野智彦・羽渕一代編、2016所収)
- >SNSでつながる
- 一方、SNSをつかって、目の前の楽しいこと、面白いこと、美しいもの、おいしいものを見せ合い、共有することは、実は監視カメラのように「お互いの日常生活を監視するきっかけをつくることでもある。
- 「監視文化」
参考文献
- ・『いろいろあるコミュニケーションの社会学 Ver.2』
- 有田亘・松井浩史 編著、北樹出版、2018年。
- ・『社会学大図鑑』
- クリストファー・ソープ他 著、沢田博 訳、三省堂、2018年。
- ・『社会学用語図鑑』
- 田中正人 編集・著、香月孝史 著、プレジデント社、2019年。
2024.07.30
- FirstDrafts:2024.05.16
- Update:2025.05.14 Now:23:02