課題レポート2024前期
提供:UselessNotes
科目名:「社会学」 2024前期
2024 年 8 月 3 日 期末課題レポート
課題①
伝統的な家族と近代的な家族についてまとめたうえで、現代の家族がどうあるべきだと思うか、自分の考えを述べてください。以下のキーワードから3つ以上つかうこと。【キーワード:伝統的な家族、近代家族、生産領域、再生産領域、パーソンズ、性別役割分業、社会化、高度経済成長期】
回答1
- 伝統的な家族は、家族で農業を営む、お店を経営する、家内工業的な家業を営む労働集団であった。もちろん親族血縁者だけでなく寝食をともにするお手伝いなど非血族者も含んで家族を形成していた。しかし資本主義社会になり工場経営者と労働者に分けられ労働者達はかつての伝統的な家族から離れて結婚によって生まれた夫婦と未婚の子供という家族構成が多くなった。そして戦後高度経済成長期には働きに出て報酬を得る男性、家庭にて家事を行い家庭内の人間関係を担うという女性、という性別役割分業が出来上がったとパーソンズは考えた。つまり生産活動と、子を生み育て労働の活力を取り戻す再生産活動と、が分離されたのが近代家族である。ちなみに私の実家は商業を営んでおり、父は販売や配達、商品手配や経営などに従事し、母は家事や子育てなどが中心でした。家には祖父や祖母もおり、特に忙しいときは母も販売に手を貸していたと記憶している。いわゆる核家族やサラリーマン家族でなくとも、昔から性別役割分業は存在し、しかも商売(生業)生産領域と家族の再生産領域の区分は明確ではない。
- サラリーマン家族では現在では共働きは当たり前になってきているが、女性の経済的及び社会的に弱い立場に置かれていた親たちのもとで育った子ども世代(私くらいの世代)にはその意識はかなり残っていてその子供世代も影響は受けていると思う。育児は仕事を平等に行う上で大変なハンデイで育休制度などを利用する父親が増えても、平等になるのは職場環境や上司、同僚の理解など対策する課題が多く時間がかかりそうだ。結局、私の実家のような商人家族(前近代的家族)でも、近代家族でも、結局はお互いの分業内容や「価値」を理解して相手を尊重する気持ちを育てていくことで少しづつ変化していくと考える。
課題②
- 産業と労働、消費行動に関して、講義で学んだことをもとに、働き方や職業、暮らし方について、自由に述べてください。自分の求める職業や働き方、将来的に予想しうる日本人の働き方や暮らし方など。
回答2:
- 世界でも珍しいというメンバーシップ型雇用は終身雇用や性別分業などと相まって日本人の気質やたどってきた歴史に親和性があって高度成長時代は大成功していたと思う。しかし他国との価格競争(テレビや半導体)で競り負け賃金カットや人員調整が容易な派遣労働者を増やすことになった。それが現在でも若者の経済状況格差を是正できない大きな要因になっていると思う。低賃金が原因なのか若い世代の消費活動は堅実に見える。消費活動でも他者のために行うという理屈は大きく心理的にあると思うが、私の世代での高価な車が生活レベルを示すバロメーター、成功のシンボルという時代ではなく、極めてささやかなことで満足している気がします。「自分の求める職業や働き方について」はいまさら私は語れないので、「将来的に予想しうる日本人の働き方や暮らし方など」について無責任なたわごととして下記します。
- 日本が目指すべきは「低成長でも心豊かに暮らせる社会(例えば北欧に近い福祉国家、豊かな自然や文化遺産を使って観光立国)」ではないかと思います。GDPなど気にしない、経済的裕福と心の裕福は違うもの。また、ここ2,30年に出てきた新技術AI,自動運転,ロボットなど日本はもう最先端に追いつけないと言う人も多い。競争よりも日本にしかできないニッチな技術(精密な部品製造技術など)や引き継いできた日本固有の工芸技術、もう一度農業・漁業・酪農などに力を入れて国として自己完結出来る国民生活を再度確立することが必要だと思う。おのずと日本人の働き方は大変化すると思います
課題③
授業で紹介した社会学者と理論の中で、一番気に入ったもの、あるいは気に食わなかったものを挙げてください。その際、なぜその社会学者、理論を選んだか、理由も書いてください。
回答3
- 「一番気に入ったもの、あるいは気に食わなかったもの」は特になく、「気になったもの」を挙げます。
- 消滅していくコミュニテイへの対策としてテキストでヒントのような書き方をしているので気になった「ソーシャル・キャピタル」「互酬性」(p.144)とはどんなものか。R.D.パットナムは、1993年著書の中でソーシャルキャピタルの定義(*1)として「基本的には人々の協調行動を活性化することによって、社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴」とした。特に「互酬性」を重視している。とある。これだけではとても抽象的でわかりにくい概念だと思った。
- 互酬性は「贈与に対して社会規範として何らかの形で返礼を行うことを互酬性という。寄付やボランティアを贈与と考えたとき、互酬性の問題が生じる。互酬性とは返礼の原則であるが、必ずしも対人性を前提としたものではなく、返礼の相手は贈与を受けた相手とはかぎらない。その点で契約に基づく交換とは大きな違いがある」とある(*2)
- つまり、東日本大震災でボランテイアを受けた人たちが、能登半島地震でボランテイアとして手助けする、それが結果的に返礼になる。ということで1対1の利益関係ではなく手助けの相手からでなく他のところから何らかの形でもどってくるという規範なのだろうと理解した。昔あった、「お互い様」という発想だ。
- たぶん、単なる地域社会だけでなく地方自治体、NPO、国、企業など重層的にネットワークを介して働くことを期待しているのだと思う。地域コミュニテイなら地方自治体ー>地域社会コミュニテイという単純な図式ではなく、地域コミュニテイは地方自治体だけにたよるのではなく、地域同士やNPO、国の団体などと有機的につながっていいのではないかと思います。
- しかし私達ができるコミュニテイ復活のヒントになるか?という点で考ると、ハードルがすごく高い。知恵が必要だと思う。例えば現存する地域のコミュニテイ組織を意識するのではなく好きな趣味で集まるグループなどから始めるのがよいかもしれない。そこに信頼、規範、ネットワークの要素が入ってくるというようなイメージなのでしょうか。
Works Cited(引用文献) 及び資料
- First Drafts:2024.08.03
- Update:2025.05.15 Now:02:42